(1)融資のリスクとプロパー融資
融資のリスクは、不良債権となり回収できないことですが、銀行のプロパー融資はそのリスクが高いと言えます。融資のリスク軽減と借入金額を増やすために、シンジゲートローンの仕組みは、特殊な融資形態の一つであると言えます。融資の担保となるものの中には、高額であるものの耐用年数が長いものを用いる場合がありますが、その代表事例として航空機を見てみましょう。航空機ファイナンスは、三井住友銀行や三井住友ファイナンス&リースが事業拡大しており、世界展開を拡大していますね。
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(2)航空機の特徴と航空会社の資金需要
- ジャンボジェット機 一機当たり100億円~200億円
- 耐用年数が数十年と長い
- 航空機会社は多数の航空機を運用する
- 航空機会社は航空機購入と整備に莫大な資金が必要
通常の設備融資は、3年から5年が融資返済の目安になっており、長いものでも10年程度と言われています。航空機ファイナンスは、20年以上の融資期間があるだけでなく、中古機市場が拡大することで発達していますね。
航空会社は、旅客収入や貨物収入を見込むことをできますが、全額自己資金では事業維持可能な航空会社は少ないでしょう。航空機ファイナンスは、ANAやJALのような大手航空会社だけでなく、スカイマークやLCCの航空機調達にも役立つ融資として活用されています。
(3)航空機の担保
- 航空機の特徴 耐用年数が長い
- 航空機の特徴 中古機市場が発達している
- 航空機の特徴 ボーイングやエアバスは世界中で使用
- 航空機ファイナンスの拡大 航空会社の拡大により中古機の市場拡大
中古機の人気が低ければ、転売による資金回収を見込にくいだけでなく、担保としての価値が消滅しやすくなります。航空機ファイナンス融資を行うときは、航空機を担保にしますが、耐用年数が長く中古市場が発達していることに加えて、担保物権を移動させることができるメリットがあります。
ボーイングやエアバスは、大型機から小型機まで大量の航空機を販売しており、世界中の航空会社が利用しています。航空機の需要が増えているだけでなく、ボーイングやエアバス利用の一般化により、購入後も整備がしやすいため担保価値が高まる要因になっていますね。
(4)リース契約による融資と節税
航空機ファイナンス融資を考えるときに、JA三井リース日本型のオペレーティングリースの冒頭の画像を見ると分かると思います。航空機ファイナンス融資を受ける、SPCに出資して節税を行うというのが日本型オペレーティングの考え方ですが、金融商品としてリスクはあるものの利益の繰延効果があります。
航空機ファイナンスの受け皿となるSPCは、JA三井リース日本型のオペレーティングリースの画像が分かりやすいのですが、事業当初は損失がでる仕組みなっており、利益の繰延効果があります。会社が一時的に大幅な黒字なれば、税金は大幅に増えることになりますが、航空機ファイナンスの仕組みを活用することにより節税効果は大きいですね。
(5)航空機ファイナンス融資と日本企業の動向
航空機ファイナンス市場の世界動向
- 航空機は経済発展で需要拡大
- 航空会社はLCCを中心に増加中
- LCCは中古航空機は積極的に導入
- 航空機ファイナンスは融資市場が拡大
- 三井住友銀行グループは航空機ファイナンス市場で世界三位
航空会社は、世界経済発展やグローバル化の加速により、新規路線の拡大やLCC設立ラッシュが発生しています。航空機ファイナンス市場は、銀行の融資拡大にとっても有望市場になっており、メガバンクも海外戦略として重視しています。
三井住友銀行の航空機ファイナンス事業拡大
- 三井住友フィナンシャル&リース(SMFL) 株式出資比率60%
- 三井住友銀行(SMBC) 株式出資比率30%
- 住友商事 株式出資比率10%
船舶ファイナンス融資とは、航空機ファイナンス融資と似ていますが、船舶は種類や汎用性が高く、船舶オーナーの数が多い点で大きく異なります。動産担保融資の種類を考えると、航空機ファイナンス融資は航空機一機担保として見ますが、畜産担保融資は複数の牛をまとめて一つの担保として見ますね。 スポンサードリンク
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